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武蔵野文化堂会館食文化館寿がきやラーメン
あなたは『寿がきやラーメン』を知っているか?

名古屋に「寿がきや」というラーメン屋がある。これはラーメン屋といってもメーカーだ。主にショッピングセンターなどでチェーン展開し、300円前後という格安の値段設定だが、量はそこそこ子供のお腹が一杯になるくらいの、いわば「おやつ麺」である。もちろん職人が威勢良くパンパンと麺の湯を切って作っているわけではなく、アルバイトの女の子や主婦が作っている。普通はそんなラーメンなど味がどうのこうのと言うものではないはずなのだが、この寿がきやラーメンだけは何故か旨いのである。

先に言っておくと私は基本的に「うどん・そば系」の人間だが、ラーメンに関してのみ「こってり系」しか食さない。喜多方ラーメンを食べるくらいなら「うどん」で済む!と言うくらい「さっぱり系」は食さない。私にとって「うどん・そば」は日常ともいえる「ケ」に辺るが、「ラーメン」は「ハレ」なのである(特に何の根拠もありませんが…)。せっかくいつもと違うものを食べたいなと言う時に喜多方ラーメンでは「ハレ」と「ケ」の差別化が量れないのだ。なので大体「家系ラーメン」か、それに準ずるものを食べている。(例:立川の「立川や」/西国分寺の「とんとん」など)

さて、自分の話ばかりになってしまったが、そんな「こってり系」信者の私がどうしても食べたくなってしまう「さっぱり系」がこの「寿がきやラーメン」なのだ。さっぱり系と言っても「とんこつ」と銘打ってあるのでスープは濁っている。どちらかと言えば魚臭い九州ラーメンといえば判りやすい(私にとって九州ラーメンは「さっぱり系」)。しかし何を隠そう旨さの秘密は実はまったく別のところにあるのだ。実はこの「寿がきやラーメン」、値段がとても安く、素ラーメンなら290円、全部乗せでも420円という破格なもの。だからちょっと遠出できるくらいになった子供が友達同士でショッピングセンターに出かけてお小遣いで食べられるものなのである。もちろん私もそのクチで小学生から多感な高校時代と東京に出てくるまでによく食べた味だ。もっとも当時の東京にもスーパーに「寿がきやラーメン」は入っていたのだが、ショックな事に関東地方はキレイに撤退されてしまった。

そうなると食べたくなるのが人情というもので、実家に帰ると必ずショッピングセンターにわざわざ用事を作って出かけては本命の「寿がきやラーメン」を食べるのが帰省の楽しみになっている。しかしながら最近になって「寿がきやラーメン」の「和風とんこつラーメン」なる生ラーメンが通販されていることを知人から聞かされた上に、よく頂く。それにしても見事なくらい店の味だ。この味はやはり記憶の中に残っている子供の頃の原風景が「食べたい」という欲求に変換されているようでならない。そして食べている最中は、半ズボンを履いてインベーダーゲームに夢中になっていた頃の自分に戻っているのだ。私にとってはラーメンというよりも「魂」の一品という位置付けになっている気がする。


■家で食べる「寿がきやラーメン」
なんと袋生麺でありながら見事に「寿がきやラーメン」を再現している。まあお店のラーメンもバイトちゃんが作っているくらいだから暖めるだけのモノでしょう。いや下手すると全く同じものかも知れない(笑
正直、大人の一食分にはほど遠いので、オヤツ代わりか、定食の一品くらいに考えていた方がよいだろう。まあ…2食入りなので全部喰うという選択肢もある。


■一応「ら・し・く」再現完了
海苔を入れる辺りが「家系喰い」の悲しさ。「寿がきやラーメン」の魅力のひとつは、ちゃちいチャーシュー。しかしこれがなかなか侮れないのだ。中毒患者は口を揃えて「あのチャーシューが無いとダメだ」と言う。再現が難しいのでスーパーで買ってきた甘ったるい「パック入りチャーシュー」を麺と一緒にぐつぐつ茹でて味を抜いておくと、それらしくなる。桃屋のメンマも同じ要領で味抜きをするとよい。卵は加減が難しくてミドルボイルドになってしまったが、まあいいか。コショウはS&Bのテーブルコショウがお奨め。間違っても粗挽き系は合わない。本当はネギが欲しいところだが、面倒なのでそのまま。しかし本当に「寿がきやラーメン」通が欲しいのは食後のソフトクリームなのである。

というわけで寿がきやラーメンを紹介させていただいたわけだが、簡潔にまとめると「九州ラーメンをさっぱりさせた感じ」「白濁にごりスープ」「とんこつ+魚介系だし」「もっちりとした普通の麺」「軽いのでサブメニューが必要」となるのだろうか。中部地方にお住まいでない方は通販で購入可能である。通販の生ラーメンでは具材が無いのでチャーシュー・メンマ・卵・ネギは揃えておきたい。

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