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武蔵野文化堂制作工房デザインのページデザイナーになりたいんですか?

とある若い人から「デザイナーになりたいのですがどうしたらよいですか?」とか「どんな勉強をしたら良いですか?」更には「大変ですか?毎日徹夜ですか?」と聞かれました。私が昔デザイナーをやっていた話をすると(今もたまにやってますが)時折こういう質問が来ます。何気なく言ったのにそう聞かれると結構戸惑うですよ。まあ大したことは言えませんが、同じ質問を持っていた人がたまたまこのサイトを見ていたときのために彼に言った事を記しておくことにしました。

実はデザイナーにもいろいろあって建物の形を考える人とか、衣装を考える人とか、車の形を考える人とか、舞台美術を考える人とかいろいろいます。私はウェブ関係の会社と編集プロダクションにしか在籍していないのでそれ以外のデザインの職業は知りません。デザイナーという職業の人は服も作れれば車も作れて家も自分で設計してロゴマークも作れちゃうってことではないんです。もちろん絶対いないとも言い切れませんが。

ただ知らないとは言え、立体物(インダストリアル・デザインとかアイディーとか言います。)を作る建築系や車系はむちゃくちゃ頭が良くないとダメっぽそうだと言う事は分かります。例えばトヨタに入社しないとトヨタの車は作れません。しかしトヨタに入社って凄いことです。私には無理です。入社試験で落とされちゃいます。家具とかなら小さなプロダクションでもありそうですが、オカムラ製作所みたいなところは、やっぱり入社試験が難しそうです。…というと私は相当頭悪そうに聞こえますが、まあ悪い方です。赤点ばっかだったし。

私が教えてあげられそうなのはデザイナー人口が最も多そうなウェブデザインと紙モノデザインくらいです。もっとも現場を離れてしばらくすると特にウェブデザインなんかは日進月歩で技術が向上していくので、もう分からない事だらけだと思います。

では私の場合どうやって編集系のデザイナーになったかと言うと、グラフィックデザイナー(そういって大抵編集デザインなんですが…)として募集されているところに面接に行っただけです。もちろん落とされる事もあります。たいてい試験はありません。噂ではパソコンの前に座らされて地図をぱぱっと作らされる簡単な試験をするところもあるそうですが、私は実際には近場では見た事も聞いた事もありません。大学を卒業したあとで最初の面接は、学生時代に描きためた絵やゼミでレイアウトした印刷物などを持って行きました。後は仕事で作りためた作品をA4のファイルにして溜め込んで、移動するたびにそれを持って面接に行っただけです。確かに現場で即戦力が欲しい立場からすると面接とか試験よりは「何をしてきたか」が重視されるような気がします。

で…歳をとってから移動したときに電話でアポを取ろうとしたら、年齢で蹴られたことがありました。「作品を見てから蹴ってください!損はさせません!」とダメもとで声を荒げたら「じゃあ来て」と面接にこぎ着けられました。なんとユルい対応。私にピッタリ!しかもそこで働けることになりました。まあでも40歳過ぎると流石にダメかもしれませんね。それは31歳の時の話です。

デザイナーとかやりてーなーと思っていたらアドビのインデザインとイラストレーターとフォトショップの最低限は知ってないとまずいです。最近はどうか知りませんがクォークエクスプレスを使えないとダメという事務所も多々ありました。ウェブデザインならドリームウィーバーとフラッシュは知っていないとマズいっす。後、サーバーやプロトコルの勉強も本屋さんに走ってやっておきましょう。それからフォントとか自前で持っていると強いです。面接の対策としては作品集(ポートフォリオとも言います)が威力を発揮してくれます。蛇足ですが、このサイトって私の手ぶらで運べるポートフォリオだったりします。

しかし私が思うには技術も大事なんですが、編集デザイナーってのは凄い美術センスがあればなれるかと言うと違います。何を言われても何をされても怒ったり切れたりしないでテレっと交渉できるずーずーしさが必要なのだと思います。すぐ怒って辞めちゃう人たちがいましたが、そう何回も事務所換えるのもキツいじゃないですか。一つの代理店や事務所と長く付き合うと絶対に見えなかった部分が見えてくるというものですよ。まあ私はそう長く働く方じゃないですが、ケンカ別れは無いです。単にどこからともなく面白そうな匂いがしてくると、ついフラフラそっちへ行っちゃうのです。熱〜〜〜く語ればみんな許してくれます。(それはそれでどーよ)まあ話は逸れましたが、ある程度の戦略眼と洞察力を持っているといい方向へ向かいます。徹夜も防げます。目の前の現象だけに捕われて泣いたり怒ったりしていると何の仕事もできません。ちなみに嫌〜で大っ嫌いな代理店の人っていますけど大抵は仲良くなれますから、そこからが本当の付き合いだと思ってケンカしないようにしましょう。まあそうかと言って、ただの言いなりになってばかりいるとバカだと思われて仕事をもっとキツくされちゃうからサジ加減がビミョーなんですよね。

それで「仕事はキツいですか?」と「毎日徹夜ですか?」なんですが…、デザイナーに限らずサラリーマンでも何でも、どの仕事も同じです。時間に追われていても楽しめる人は楽しいし、そうでない人はキツいです。ただ大手企業のサラリーマンと違うのは、キツいだけの報酬がもらえないってことくらいでしょうか。デザイナーは馬車馬とはよく言われましたが、まあ外れてないかも。歳をとったらポイっとされちゃうのもサラリーマンとは違いますかね。デザイナーってネコみたいな生き物だから組合とか団結とか団体交渉とか全く無いし。ホントいい歳して綱渡りもいいとこです。ちなみに知人のベテランさんや先輩のデザイナーはみんな仕事を離れちゃいました。やっぱ肉体的にも経済的にもキツいということです。そういう私も気がつくとデザイナー辞めて今は人形を作って結局徹夜してます。でもデザイナーも人形作りも楽しいですよ。もちろん自分のデザイナーの限界を感じた時点でプロダクションを起こす人もいますが、それは全然違うスキルや実力なのでデザイナー全員がそれを真似するわけには行きません。

まああまり役には立たないかもしれませんが、元デザイナーの一人としての話でした。今、最前線で闘っているデザイナーさんの言う事の方が百倍役に立つ事でしょうが、多分最前線ではストレスが溜まるし常時興奮状態が続いているんで、相当キツ〜〜〜い事言われます。もっともその方が鍛えられますけどね。まあ頑張ってください。何かあったら役には立ちませんが知っている事はお話しいたします。まったりと話してますが、楽してすぐにでも人形作りたいんですが…と言われたらキツ〜〜い事言うかもしれません。

で…最後にオチなんですが、最初にこの質問をした彼は私のプログラマーの友人に「プログラマーになるにはどうしたらいいんですか?」「どんな勉強をしたらプログラマーになれるんですか?」「プログラマーは大変ですか?徹夜続きですか?」と聞いていました。ずっこけそうでした。まあ、これもよくあることです。


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